ダイレクト・マーケティングとは?

ダイレクト・マーケティングとは、米レスター・ワンダーマンが、1960年台初頭に提唱し始めたマーケティング・コンセプトであり、手法のことです。

ダイレクトマーケティングの概要

JDMA(日本ダイレクトマーケティング協会)のように、ダイレクトマーケティングに携わる企業のための団体は世界各地にあります。 DM(ダイレクト・メール)を使った販売手法のことを、ダイレクト・マーケティングと呼ぶ人も多いのですが、実際は、提唱者のワンダーマンも言っている通り、DMはダイレクトマーケティングの一部です。

ダイレクトマーケティングのコンセプトと発展

ダイレクトマーケティングのそもそものコンセプトは、「ダイレクト」メールでの販売手法でも、「ダイレクト」な反応のことだけを指すのではなく、顧客と個人的に、双方向の「ダイレクト」コミュニケーションを創造し、それをもって販売増につなげるというマーケティングコンセプトとその手法です。

要は、卸売と直販の違いのようなものです。企業が顧客と直接つながろう、というのがダイレクトマーケティングの要旨です。

その個人との双方向コミュニケーションにツールとしてはメールが一番コストパフォーマンスも高く、適していたために、DMを使った手法にメソッドやノウハウが多くあります。

しかし、源流はコンセプトとその手法のことなので、非常に広範囲にわたり応用でき、現代で提唱されるインターネットマーケティングのルーツは、ほとんどがダイレクトマーケティングを始祖としています。

ダイレクトマーケティングの例

提唱者であるレスター・ワンダーマンの自伝(「売る広告」への挑戦やワンダーマンの「売る広告」)を読むと分かりますが、ダイレクト・マーケティングの先駆的な例としては、アメリカン・エキスプレス(クレジットカード)やフォードのような一流企業をはじめ、保険会社、石油会社、食品会社、化粧品会社など、通信販売会社以外にも、広く、様々な分野で活用されているコンセプトであり、手法です。(戦略であり戦術)

ダイレクト・レスポンス広告とは?

ダイレクト・レスポンス広告は、よくダイレクト・マーケティングと混同されがちですが、そもそものルーツは通販に用いられる直接広告等になります。そのため、ダイレクト・マーケティングとダイレクト・レスポンス広告は、比較するジャンル自体が違います。 ダイレクト・マーケティングはコンセプト、手法であるのに対し、ダイレクト・レスポンス広告はツールのことだからです。

しかし、これが意外にも歴史が深く、発端はどうやら1900年代、世界恐慌よりも大分前のアメリカのようですので、中国4000年の味、ならぬ、通販100年の歴史があります。また、レスター・ワンダーマン自身もダイレクト・レスポンス広告や通販からは多大な影響を受けており、ダイレクトマーケティングの種の一つではあります。

有名なところでは、シアーズ(時計と宝石のカタログ販売からはじめて急成長し、その後世界有数の小売業となった)が良く知られています。

ダイレクトマーケティングと通販の歴史

1900年初頭、通販がはじまった大きな理由に、工場制度の発達と鉄道インフラの整備が挙げられます。大量生産と輸送力が大幅な進歩を遂げたため、都市や地方から人が動いていたところを、商品を動かすことにシフトし、通販という新しい市場が開拓されたからです。

1920年代には第1次世界大戦後の不況や世界大恐慌のおかげで、小売業全体が落ち込みました。それに加え、フォードなどによる乗用車の大衆化により、遠距離の買物も簡単に出来るようになったため、通販は一時冷え切ります。

ひねくれた見方をすれば、ダイレクト・マーケティング的であった「人を移動させる」フォードに、「商品を移動させる」ダイレクト・レスポンス広告軍勢は煮え湯を飲まされたという見方も出来ます。

しかし、1960年代には、女性の労働などにより、価値観、生活時間、消費層が変化しはじめます。同時にカラー印刷の技術向上などによって、カタログなどの商品品質の訴求が正確性を帯び、通販が復活しはじめました。

1960年代というと、ベトナム戦争勃発、ケネディ暗殺、東京オリンピック、ビートルズの来日、アポロ11号月面着陸、東名高速道路開通など、国内外を問わず、大きな価値の変動と時代の変化を迎えた10年になります。

次のビッグウェーブはご存知のようにインターネットの普及です。特に、2010年前後の変化は、通販の歴史と重ねてみると非常に興味深く、価値観の変化期、ヒエラルキー、ジェネレーションやジェンダーの入れ替わり期、表現の変化期だと考えられます。

結論として、ダイレクトレスポンス広告や通信販売という形態はダイレクトマーケティングの一部です。これはレスターワンダーマンのキャリア自体が通信販売からはじまったことにも起因しているようです。別なものですが、一部ではあります。

インターネットマーケティングは大半がダイレクトマーケティング

このように、通販自体の歴史は100年以上ありますが、EC(電子商取引)というと通販とは少し別と考えすぎるあまり、通販そのものの仕組みやテクノロジーを理解していない人が大多数です。サイトに商品を並べればいい、ただカタログに掲載すればいいというように安易に取り組み失敗をしてしまう人が後を絶たないのもこのせいです。

しかし、ECでも物販に関してはネット通販ともよばれているように、通販の延長線上からはじまっているので、ダイレクトマーケティングのコンセプトや手法は極めて活用性が高いものになります。

また、前述したように、インターネットマーケティング自体のルーツがほとんどダイレクトマーケティングであることからも分かるように、通販に限らず、顧客と直接関わり、マーケティングやブランディングを行うのであれば、インターネットマーケティングとは、ほとんどダイレクトマーケティングを指しているのと同義になりますので、理解した上での応用は十分な力になります。

ダイレクトマーケティングとは?

ダイレクトマーケティングをまとめて、いくつかの言い方をすると、マスマーケティングや一般広告、大量販売ではなく、人間的個人との取引、双方向での取引がダイレクトマーケティング。単純な通信販売(メールオーダー)、ホームショッピングではなく、倉庫や工場、発送センター等の生産者と消費者がダイレクトにつながる取引がダイレクトマーケティング。メディアに関しては、レスターワンダーマン曰く、『ダイレクトマーケティングはマルチメディア技術である』です。